「先生、なんで国語なんて勉強しなきゃいけないの?」
授業中、あるいはふとした瞬間に子どもから投げかけられるこの問い。皆さんはどう答えていますか?
「受験に出るから」「大人になって困るから」……。どれも間違いではありませんが、子どもの心に火を灯す「納得解」にするのはなかなか難しいものです。
今回は、国語教育の権威・阿部昇先生の理論を参考に、小学生に語りかけるための「2つの切り口」と「1つの本質」について整理します。
▼ 本記事のベースとなった参考文献
1. 「日常のモヤモヤ」に寄り添う:言葉は心を通わせる道具
まず一つ目は、子どもたちの日常にある「伝わらなさ」にフォーカスする切り口です。
- 「わかってほしいのに、伝わらない」経験: すごく嬉しかったことや、逆に嫌だったこと、モヤモヤしていることを友達に話しても、その熱量や理由がうまく伝わらなかったことはないかな?
- 「そんなつもりじゃないのに」という誤解: LINEやメール、お手紙で、悪気はないのに相手を傷つけてしまったり、誤解されたりしたことはないかな?
- 「いい本だよ」と言われても響かない: 人が感動したと言っているのに、自分にはその面白さがさっぱりわからない。それはなぜだろう?
これらはすべて「言葉の力」の不足から起こることです。国語の授業は、自分の思いをより正確に伝え、相手の感動を自分も味わえるようになるための「心のトレーニング」なのだと伝えてみましょう。
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2. 「将来の夢」とつなげる:どんな仕事も言葉でできている
二つ目は、将来の仕事や夢と結びつける切り口です。
「国語は文系の人のものでしょ?」と思われがちですが、実はどんな職業でも土台にあるのは言葉の力です。
- お医者さん: 治療法の勉強も言葉。患者さんやチームとの信頼関係を築くコミュニケーション能力(言葉の力)が不可欠です。
- イラストレーター: ただ絵を描くだけではありません。依頼主が何を求めているのか、言葉で対話して理解する力が必要です。
- YouTuber: 映像も大事ですが、視聴者に納得してもらったり、感動してもらったりするためには、言葉でどう伝えるかが勝負になります。
どんな仕事でも、社会に喜ばれる「良い仕事」をするためには、言葉の力が必要不可欠なのです。
【本質】私たちは「言葉」で考えている
最後に、最も本質的なお話です。
「みんな、今、頭の中で何かを考えているよね?」
実は、私たちが何かを考えたり判断したりするとき、意識していなくても頭の中では「言葉」を使っています。
つまり、言葉の力が豊かになるということは、「より深く、より豊かに考えられるようになる」ということ。国語を学ぶことは、人生をより良く生きるための「思考の質」を高めることそのものなのです。
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おわりに:教育に絶対解はないけれど
「なぜ勉強するのか」という問いへの答えに、唯一の正解はありません。
しかし、阿部先生が示してくださったように、「言葉の力は一生に関わるものであり、人生を大きく変えるもの」という視点は、子どもたちの人生を主語にしたとき、非常に強力なメッセージになります。
目の前の子どもの状況に合わせて、具体例を変えながら、ぜひ皆さんの言葉で届けてみてください。
参考文献・おすすめ書籍
今回の考え方をより深く授業に落とし込みたい先生方へ、阿部先生の著書をご紹介します。
動画出典:
阿部昇先生 Q&A「小学生に『なぜ国語を勉強するの?』と聞かれたら」
https://www.youtube.com/watch?v=A8-N5X_NqGk
