「ごんぎつね」で解説!国語の学力を育てる3つの「読む方法」とは?

国語の学力とは、計算や図形のように目に見える成果が分かりにくく、授業が「感想の発表会」で終わってしまいがちです。しかし、国語の真の学力とは「方法(読み解くスキル)」を習得し、それを未知の作品に応用できる力です。

今回は、誰もが知る名作「ごんぎつね」を例に、阿部昇先生の理論をベースとした「鳥の目」と「虫の目」を往復する指導法を、具体的な教材解釈とともに深掘りします。


▼ 物語指導のバイブル(本記事のベース)




目次

1. 作品を俯瞰し「核心」を見定める「鳥の目」の読み

物語を「導入・展開・山場・終結」の4部構造で捉えます。ここで重要なのは、単にあらすじを分けることではなく、物語の「伏線」と「山場」の関係性を論理的に導き出すことです。

「ごんぎつね」の真の山場はどこか?

多くの子どもは「ごんが撃たれた場面」を山場に選びますが、物語全体の構造を俯瞰すると、もう一つの候補が浮かび上がります。それは「兵十がごんの正体に気づく場面」です。

  • 伏線の回収: 物語前半の「ごんによる悪戯(ズレ)」と、後半の「ごんによる償い(片思い)」という伏線を辿ると、この物語が「二人の決定的な認識のズレが一致する瞬間の悲劇」であることが見えてきます。
  • 構造的な意味: 撃たれることが重要なのではなく、撃たれた瞬間に初めて「お前だったのか」と分かり合えたこと。この地図全体を眺める視点が「鳥の目」の学力です。

関連記事:国語の授業が散らかる本当の理由|問いを増やすほど、子どもは考えなくなる


2. 語句の微差から心理を射抜く「虫の目」の読み

細部の言葉に注目する「虫の目」で、最も鮮烈な指標となるのが「呼称(呼び方)の変化」です。作者・新美南吉が文章に施した巧妙な仕掛けを読み解きます。

「狐」から「お前」への劇的転換

物語を通じて、兵十や語り手はごんをどう呼んでいるでしょうか。ここに「心の温度計」が現れます。

  • 「狐」「あのごんぎつねめ」: 物語のほとんどで使われる呼称です。これは人間が獣を見下し、憎しみを込めた「冷淡で距離のある視点」を表しています。
  • 「ごん、お前だったのか」: 最後に兵十が放つこの言葉。ここで初めて「獣」ではなく、名前を持った「対等な存在」としての呼称に変わります。

この呼称の変化こそが、兵十の認識が180度変わったことを示す「客観的な証拠」であり、読者に感動を与える正体です。単に「感動した」で終わらせず、どの言葉が変化したから感動したのかを特定させる。これが「虫の目」の指導です。


▼ 説明文でも「方法」の指導は共通しています


3. 「鳥」と「虫」を往復するメリット:納得感のある感動

構造(鳥)と細部(虫)を往復することで、読解は単なる「主観的な感想」から「論理的な解釈」へと進化します。

  • 往復の具体例: 導入部(鳥の目)でごんが「ひとりぼっちの小ぎつね」と表現されていた一語(虫の目)に着目します。この設定が頭にあるからこそ、後にごんが「俺と同じひとりぼっちの兵十か」と共感する場面で、その言葉の重みが読者の心に深く響くのです。

例えるなら: 映画鑑賞で、ストーリーのあらすじ(鳥の目)を追いながら、同時に俳優の細かな表情や小道具(虫の目)にも注目するようなものです。「あの時のあの表情は、このラストシーンのための伏線だったのか!」という深い納得感が生まれます。

関連記事:説明的文章の授業で、教師が本当に育てるべき「三つの力」


4. 「個別最適な学び」を支える評価・吟味の読み

構造と技法という「方法」を武器にした子どもたちは、最終的に作品を自分なりに「評価・吟味」する段階へ進みます。

  • 「なぜ兵十は、火縄銃で撃つ必要があったのか?(もっと別の結末はなかったか)」
  • 「冒頭の『これは、私が聞いたお話です』という形式は、物語にどんな効果を与えているか?」

こうした問いに対し、根拠を持って議論できるようになることこそが、個別最適な学びと協働的な学びの一体化に繋がります。


▼ 現代の授業実践に欠かせない一冊




結論:国語の学力は「一生モノの懐中電灯」

「ごんぎつね」で学んだ読み方は、そのまま「大造じいさんとがん」や「海の命」にも転用(応用)できます。国語の学力とは、一皿の料理を食べるだけでなく、「料理のレシピ」を習得することに他なりません。

方法という光(懐中電灯)を手にすることで、子どもたちは将来どんな新しい作品に出会っても、自分一人の力でその深い味わいを引き出せるようになるのです。

関連記事:国語の授業の極意|「気持ち当てゲーム」から抜け出す3つの原則

けーわい先生
小学校教員
1987年生(メッシ世代)
ハウツーよりもコンセプト
子どもを主語に教育活動を!!
自分の人生も豊かにしよう!!
先生が一歩踏み出す勇気がもてるブログへ
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次