「国語という教科は、多くの教科の中でも、どういう力をつけたらいいのかが大変わかりにくい教科の一つです」。
教育専門家の阿部昇先生がこう語るように、多くの先生方が「一体どんな力を、どう育てればいいのか?」と悩んだ経験をお持ちではないでしょうか。
私たちは「読む力」といった目標を掲げますが、その言葉はあまりに抽象的です。物語をたくさん読んできた生徒は「なんとなく」や「勘」で大切な箇所を掴めますが、そうでない生徒にとっては、どこに注目すればよいかすらわかりません。
この記事では、阿部氏の提言をもとに、国語の授業が抱える課題を乗り越え、「なんとなく」を「わかる!」に変えるための3つの視点を解説します。
1. 教えるのは「力」ではなく、具体的な「方法」である
国語の授業を変える第一歩は、教える対象を根本から見直すことです。「読む力」そのものを直接教えることはできません。しかし、その力を構成する具体的な「方法(メソッド)」を教えることは可能です。
多くの生徒は、教科書を前にして「どこに目をつけたらいいのかわからない」と感じています。そこで教師が教えるべきなのが、文章を読み解くための具体的な「視点」や「道具」となる方法です。
- 物語の構造上の山場である「クライマックス」を見つける方法
- クライマックスにつながる「伏線」に気づく方法
- 心理を際立たせる「比喩(直喩・隠喩)」などの技法に着目する方法
生徒たちは、こうした具体的なレンズを手に入れることで、どこに焦点を当てればよいかがわかり、「今までよりずっと深く読めるようになった」と自身の成長を実感できるようになります。
関連記事:国語の授業の極意|「気持ち当てゲーム」から抜け出す3つの原則
2. 授業のゴールを「超」具体的に設定する
多くの指導案に見られる「主人公の心情の変化を読む」といった目標は、実は非常に抽象的です。目標が曖昧だと、授業の焦点が定まらず、「発言はたくさん出たけれど、結局どんな力がついたのかわからない」という結果に陥りがちです。
これを解決するには、授業のゴールを「超」具体的に設定することが不可欠です。
- OK例:「今日は、物語にはクライマックスという構造上の山場があることを学ばせる」
- OK例:「今日は、直喩表現がもたらす表現上の効果について学ばせる」
このように、その時間の授業で何を身につけさせるのか(到達点)を明確にすることで、教師の指導はブレなくなり、生徒の学びも確かなものになります。
3. 「対話」で思考を整理し、概念化する
具体的な「方法」を学び、ゴールが設定されたら、最後は生徒同士の「対話」です。対話の価値は、単に意見を交換することだけではありません。
自分の読みを友達に伝えるアウトプットの過程で、「ぼんやりとしていた思考が整理され、くっきりとした輪郭を持つ(概念化される)」ことこそが、学びの核心です。
一人で読んでいただけでは気づけなかった作品の新しい側面を、対話を通して発見していく。この探究のプロセスが、自立した読み手を育てます。
関連記事:国語の授業が散らかる本当の理由|問いを増やすほど、子どもは考えなくなる
まとめ:参考動画とおすすめ書籍
今回の記事のベースとなった阿部昇先生の解説動画です。より詳しく知りたい方はぜひ併せてご覧ください。
▼ 参考動画:国語の授業では「どんな力」を「どういう方法」で育てるのか?
https://www.youtube.com/watch?v=pV9q3Pexiko
【参考文献】授業づくりの質を高める3冊
1. 物語・小説指導のバイブル
2. 説明文・論説文の指導法入門
3. 「主体的な学び」を生み出す最新方略
