ジャーナルにネガティブなことばかり書く子──心配な記述との向き合い方

振り返りジャーナルを続けていると、ネガティブな記述ばかりが続く子に出会うことがあります。「疲れた」「今日も嫌なことがあった」「全部うまくいかない」。ページを開くたびに暗い言葉が並ぶと、教師としてどう受け止めればいいのか、悩んでしまいますよね。

今回は、こうした記述との向き合い方について、慎重に考えてみたいと思います。

目次

まず、書けていること自体を肯定的に捉える

最初にお伝えしたいのは、ネガティブなことを「書けている」のは、悪いことではないということです。

つらい気持ちを言葉にできず、心の中に溜め込んでしまう子もいます。それに比べれば、ジャーナルに吐き出せているのは、その子にとって大切な出口が機能している証拠です。ジャーナルが「ネガティブな感情を出しても安全な場所」になっているからこそ、書けている。まず、そう捉えたいところです。

だから、「暗いことばかり書かないで」と言うのは禁物です。その一言で、唯一の出口を塞いでしまいかねません。

受け止め方の基本

否定せず、そのまま受け取る

ネガティブな記述へのコメントは、まず受容から。「そう感じたんだね」「疲れてたんだね」「教えてくれてありがとう」。

励まそうとして「そんなことないよ!」「元気出して!」と返したくなりますが、これは実は、その子の感情の否定になってしまいます。つらいと言っている子に「つらくない」と返すことになるからです。まず、そのままの気持ちを受け取る。それが応答の基本です。

ポジティブへの誘導を、急がない

「でも、いいこともあったでしょう?」と、無理に明るい方向へ引っ張るのも避けたいところです。本人の中でまだ消化できていない感情を、外から上書きすることはできません。

ネガティブな気持ちに十分付き合ってもらえた子は、時間はかかっても、自分のペースで浮上していきます。急がば回れ。感情には、そのプロセスに寄り添うことがいちばんの近道です。

「見守る」と「動く」の判断ライン

とはいえ、すべてを見守るだけでいいわけではありません。ジャーナルの記述には、対応を急ぐべきサインもあります。

たとえば、特定の子から繰り返し嫌なことをされている記述、家庭でのつらい状況をうかがわせる記述、自分を傷つけたい気持ちや「消えたい」といった言葉。こうした内容が見えたときは、ジャーナル上のコメントで済ませてはいけません。

「教えてくれてありがとう。あとで少しお話しようね」とだけ書き、必ず直接、話す時間をつくる。そして、内容の深刻さに応じて、学年主任・管理職・養護教諭・スクールカウンセラーと連携します。一人で抱え込まないこと。これは、その子のためでもあり、先生自身のためでもあります。

迷ったら、相談する。「これくらいで報告していいのかな」と思うレベルでも、共有しておくほうが安全です。ジャーナルは子どものSOSをいち早くキャッチできる窓ですが、対応はチームで行うものです。

ネガティブの中の、小さな変化を見つける

ネガティブな記述が続く子のジャーナルでも、注意深く読むと、小さな変化が見つかることがあります。

「疲れた」だけだった記述に、「でも給食はおいしかった」が加わった。嫌なことの内容が、少し具体的に書けるようになった。文字が少し丁寧になった。こうした変化は、その子の心が少し動いた印です。

見つけたら、そこにそっと触れます。「給食おいしかったんだね、先生も」。大げさに褒めるのではなく、さりげなく。その積み重ねが、暗いトンネルの中の子に、小さな灯りをともしていきます。

おわりに

ネガティブなことばかり書く子は、ジャーナルを通じて、心の内を見せてくれています。それは信頼の表れでもあります。否定せず、急がせず、受け止め続ける。そして、危険なサインには、チームで確実に動く。

すぐに明るくならなくても大丈夫です。「どんな気持ちも受け取ってもらえる場所」があること自体が、その子を支えています。ジャーナルという小さな窓を、どうか大切に守ってあげてください。

けーわい先生
小学校教員
1987年生(メッシ世代)
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