振り返りジャーナルを始めるとき、意外と悩むのが「いつ書かせるか」です。
一日を振り返るのだから、帰りの会のあたりがいいのか。それとも、気持ちの切り替えになる朝がいいのか。本やネットを見ると、いろいろな意見があります。私自身も、あれこれ試行錯誤しました。そして最終的にたどり着いたのが、意外にも「給食後」だったのです。今回は、なぜそこに行き着いたのか、正直な実体験をお話しします。
理想は「帰りの会」。でも、現実は……
最初は、定石どおり「帰りの会で書く」を試しました。一日を終えて、その日の出来事を振り返る。タイミングとしては、いちばん自然に思えます。実際、帰りの会は振り返りのベストタイミングではあるのです。
ところが、現実は甘くありませんでした。まず、子どもたちを早く帰らせてあげたいという思いがあります。一日がんばった子どもたちを、ジャーナルのために長く教室に留めるのは気が引けます。さらに、午後の授業が押してしまうと、帰りの会の時間そのものが削られ、書く時間が残っていないこともしばしば。連絡事項や提出物の対応もあり、気づけば下校時刻ギリギリ。「ジャーナルを書く5分」なんて、どこにも残っていないのです。
では朝はどうか。朝の会も試しました。けれど、こちらも同じでした。健康観察、提出物のチェック、その日の連絡。さらに、朝は全校集会や学年集会が入ることもあり、バタバタしがちです。何より、朝にジャーナルを書かせて1時間目の授業に遅れてしまっては本末転倒です。落ち着いて自分を振り返る時間を、朝に安定して確保するのは難しいのです。
朝も帰りも、ジャーナルを書く余裕なんてない。これが、多くの先生に共通する現実ではないでしょうか。
試行錯誤の末、たどり着いた「給食後」
朝と帰りがだめなら、一日のどこに時間があるのか。いろいろな時間帯を試した結果、いちばんしっくりきたのが、給食を食べ終えたあとの時間でした。
給食後は、朝や帰りのような慌ただしさがありません。食べ終えて、片づけも済んで、午後の授業までの少しの空き時間。ここにジャーナルを書く時間を組み込んでみたところ、これがうまくはまったのです。
給食後に書いて、見えてきたメリット
1. 習慣として、定着しやすい
給食後という時間は、毎日ほぼ決まったリズムでやってきます。だから「給食を食べ終えたら、ジャーナルを開く」という流れが、習慣として根づきやすいのです。
朝や帰りのように、日によって忙しさが大きく変わることがありません。毎日同じタイミングで書けるからこそ、子どもにとっても「いつものこと」になり、自然と続いていきました。習慣化のしやすさは、給食後の大きな強みです。
2. 子どもが、落ち着いて書ける
お腹が満たされた給食後は、子どもの心身が比較的落ち着いている時間でもあります。空腹でそわそわすることもなく、静かに自分と向き合いやすい。
慌ただしい朝や、早く帰りたい放課後に比べて、給食後はどこかゆったりとした空気が流れています。その落ち着いた雰囲気の中だからこそ、子どもたちはじっくりと自分の言葉を綴ることができるようです。
3. 正直に言えば、「落ち着かせられる」
これは教師としての本音ですが——給食後というのは、子どもがやや浮き足立ちやすい時間でもあります。食べ終えた解放感で、なんとなく騒がしくなりがちな時間帯。
そこにジャーナルを書く時間を置くと、教室がすっと静かになります。子どもが落ち着いて書けるだけでなく、教師の側も、その時間を落ち着いて過ごさせることができる。午後の授業へ向けて、心を整える時間にもなっているのです。一石二鳥、というのが正直なところです。
もちろん、難点もある
給食後はいいことばかりかというと、そうではありません。一つ、はっきりとした難点があります。
それは、「一日を振り返る」には少し早いということです。給食後はまだ午後の授業が残っています。だから、もしその日の午後に大きなイベントや行事があると、その出来事はジャーナルに書けません。
「今日の行事の振り返りを書かせたい」というようなときは、給食後では間に合わず、翌日に持ち越すことになります。書きたいことが新鮮なうちに書けないのは、少しもどかしいところです。
ただ、これは工夫で対応できます。普段は給食後に書き、行事など特別な日だけは、その後の時間に臨時で書く時間をつくる。基本のリズムは給食後に置きつつ、必要なときだけ柔軟に動かす。そうすれば、給食後のメリットを生かしながら、難点もカバーできます。
中学校でも、同じやり方でやれる?
ここまで「給食後」を中心に書いてきましたが、「これは小学校の話で、中学校では難しいのでは?」と感じた方もいるかもしれません。たしかに、中学校には中学校の事情があります。
まず、給食のある中学校なら、基本的に同じ考え方が使えます。給食後の落ち着いた時間にジャーナルを書く流れは、中学生にもそのまま応用できます。むしろ、思春期の生徒ほど、慌ただしい朝や帰りより、落ち着いた時間のほうが本音を綴りやすい面があります。
そして、中学校は教科担任制だからこそ、給食の時間がむしろ貴重です。授業中は教科担任として他のクラスを回っていることも多く、担任が自分のクラスとじっくり向き合える時間は限られています。その点、給食は担任がクラスにいられる数少ない時間。ここにジャーナルを置けば、担任が生徒の振り返りに目を通し、言葉を返す時間も自然に確保できます。担任とクラスがつながる時間として、給食後はむしろ中学校でこそ生きてくるのです。
一方で、弁当持参で給食の時間がない中学校もあります。その場合は、「給食後」にこだわる必要はありません。大切なのは時間帯そのものではなく、「一日の中で、比較的落ち着いていて、毎日確保できる時間」を見つけることです。昼休みのあとの短学活など、学校のリズムの中で、そうした「すき間」を探してみてください。校種が変わっても、「続けられる時間に置く」という原則は変わりません。
おわりに
振り返りジャーナルを書くタイミングに、唯一の正解はないのだと思います。学校種も、学級の実態も、先生のスタイルも、一つひとつ違うからです。
大切なのは、「いつが理想か」だけでなく、「いつなら無理なく続けられるか」という現実的な視点を持つこと。私の場合、それが給食後でした。もし今、朝と帰りの慌ただしさの中でジャーナルの時間を捻出できずにいるなら、自分の学校のリズムの中で「続けられる時間」を探してみてはいかがでしょうか。続けられる時間こそが、いちばんいい時間なのだと思います。
