特別支援学級の振り返りジャーナル実践──字が書けなくてもできる

「特別支援学級で振り返りジャーナルなんて、できるんですか?」

そう聞かれることがあります。答えは、できます。それどころか、特別支援学級でこそ効果を発揮するというのが、実際にやってみた私の実感です。

私は複数の学年の子どもたちが在籍する学級で、振り返りジャーナルを実践してきました。もちろん、最初は苦労しました(笑)。今回は、その工夫と、やってよかったこと、そして正直なデメリットまで書いておきます。

目次

特別支援学級には、実は有利な条件がある

意外に思われるかもしれませんが、特別支援学級には振り返りジャーナルに向いた条件があります。個別に対応しやすいということです。

通常学級で30人以上を見ていると、書けない子に個別に寄り添う時間はどうしても限られます。でも少人数なら、その子の隣に座って、一緒に考えながら進められる。「書けない子への支援がしやすい」という一点は、大きなアドバンテージです。

もちろん、現場はそんなに甘くない日もあります。それでも、条件としては悪くない。まずはそこを押さえておきたいところです。

気をつけた3つのこと

1. 字にこだわらない

いちばん大事なのがこれです。特別支援学級には、字を書くこと自体が難しい子が一定数います。発達段階によるもの、書けるけれど気分が乗らない子。本当に多種多様で、可愛い子どもたちです。

だから私は、字でなくてもいいことにしました。思い出を絵で描く。その日の気分を「○」や「×」の記号で表す。絵は書きやすいですし、記号なら鉛筆を一度動かすだけです。

目的は「文章を書く練習」ではなく「自分の一日を振り返ること」。そう考えれば、表現の形は何でもいいはずです。

2. 書く時間を固定する

私は書く時間を給食後に固定しました。学級全員がそろって給食を食べていたので、そのまま流れで書ける時間帯だったからです。

朝の会や帰りの会でもいいのですが、大事なのは毎日同じタイミングにすること。「今日はいつやろう」と迷う余地をなくすと、活動が生活の一部になっていきます。

3. 書けたことを褒める。書けない子は励ます

書けた子は、しっかり褒めます。「書けた」という事実そのものが自信になります。

そして、書けなかった子への励ましも忘れない。ここで叱ってしまうと、ジャーナルが嫌な時間になります。褒めと励ましの両方をセットにするのが、続けるコツでした。

「書かない子」も認める

1年生については、2学期から始めました。字の学習の進み具合や時間割の関係もあり、無理にこだわらなくていいと判断したからです。

ただ、その中にも「やりたい」と言う子がいました。その子にはノートを渡して、始めてもらいました。

それぞれのペースに合わせればいい。全員を同じスタートラインに立たせる必要はありません。「書かない子」も認めることは、特別支援学級ではとくに大切な視点かもしれません。

やってよかったこと5つ

① 生活リズムができた

特別支援学級の子どもたちにとって、生活リズムはとても重要です(もちろん、どの学級でも同じですが)。安定したリズムが、安心できる学校生活につながります。

「○○のあとに△△をする」という流れが決まっていること自体が、子どもたちに安定と安心をもたらしてくれました。

② 書く習慣が身につく

毎日少しずつ書くうちに、書くことへの抵抗が薄れていきます。授業で習った字を実際に使う、いいアウトプットの機会にもなりました。

③ 感情のコントロールにつながる

心の中の言葉を、外に出して言語化する。それを続けるうちに、自分の感情の起伏と向き合えるようになっていきます。

段々と。本当に、段々とです(行間を読んでください)。それでも、確かに変化はありました。

④ 子どもたちとつながり合える

書き続けていると、子どもたちは教師からの返信を心待ちにするようになります。「今日は何て書いてくれるかな」と。

そうやって、お互いに意欲的につながり合える関係が生まれていきます。これは、日々の会話だけでは作れない回路でした。

⑤ 懇談会で使える資料になる

懇談で保護者にジャーナルを見せると、笑いあり、涙ありの展開になることがけっこうあります。日々の成長が、そのまま形で残っているからです。

補足ですが、教育論文を書く先生にもおすすめです。子どもの変容の記録として、これ以上ないくらい具体的な資料になります。

正直に言うと、デメリットもあります

いいことばかり書いてきましたが、デメリットもあります。軌道に乗るまでが大変だということです。

習慣づくまで、子どもたちがやる気になるまでの期間は、正直、「書かせる」ことにイラつきを感じることもありました。これは隠さず書いておきます。

でも、しつけは一朝一夕では成立しません。根気、本気、熱気。そのすべてを使って、ぜひやり遂げてほしいと思います。

おわりに

字にこだわらず、時間を固定し、書けたことを褒める。そして、書かない子も認める。この4つを守れば、特別支援学級でも振り返りジャーナルは十分に成立します。

日々奮闘している特別支援学級の先生方の苦労を思うと、頭が下がる思いでいっぱいです。その毎日の中に、この実践が少しでも役に立つものとして加われば幸いです。

参考書籍

振り返りジャーナルの考え方を体系的に学べる一冊です。当ブログの実践も、この本から多くを学んでいます。

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けーわい先生
小学校教員
1987年生(メッシ世代)
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