振り返りジャーナル、教師はいつ読んで返すのか──30人分を15分で回した時間術

振り返りジャーナルの話をすると、いちばん多く返ってくるのがこれです。

「良さそうなのは分かる。でも、30人分に毎日返事を書く時間がない」

これは本当にその通りで、時間の問題を解かないまま始めると、まず続きません。テーマの出し方でも、コメントの言葉選びでもなく、「いつ読んで、いつ返すか」が先です。順番を逆にすると、二週間で止まります。

私は小学2年生を担任していた1年間、毎日ジャーナルを回して、毎日返事を書いていました。特別な工夫をしたわけではありません。ただ、返事を書く時間を「確保する」のをやめたことだけが、続いた理由だと思っています。

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まとまった時間を取ろうとすると、続かない

最初に考えるのは「放課後に30分取ろう」です。私もそう考えました。そして失敗しました。

放課後は、いちばん予定が壊れる時間だからです。保護者から電話が入る。子どもがけんかの話をしに来る。会議が延びる。部活がある。「今日は無理だったから明日まとめて」を一度やると、次の日は60人分になっています。60人分を前にした時点で、その取り組みは終わります。

だから私は逆にしました。まとまった時間を取るのではなく、細切れの時間に散らす。1日15分を1回確保するのではなく、5分を3回、すでにある時間の中に混ぜてしまう考え方です。

私が返事を書いていた4つの場面

実際に使っていたのは、この4つです。どれも新しく作った時間ではなく、もともと教室にあった時間です。

1. 提出してきた、その場で

子どもがノートを持ってきたときに、その場で目を通して一言書いて返す。これがいちばん速く、いちばん効きます。子どもは自分の書いたものが読まれる瞬間を見ているので、「読んでもらえた」が確実に伝わるからです。

全員分をこの方法でさばくのは無理ですが、先に出してきた子ほど、その場で返るという形になります。これは結果的に、書くのが早い子への良い報酬にもなっていました。

2. 掃除の時間

掃除は、教師が立って見ている時間です。教室の掃除当番がついている日は、机の横で数冊さばけます。もちろん掃除の指導が優先ですが、子どもが動き出して回り始めた後の数分は、手が空きます。

3. テストや図工など、作業を見ている時間

ここがいちばん量をさばけました。テスト中や、図工の制作が軌道に乗った後の時間は、教師が「見ている」ことが仕事で、「動く」ことが仕事ではない時間です。机間を回りながら、教卓に戻ったタイミングで数冊ずつ進める。この時間だけで半分近く終わることもありました。

4. 翌朝

それでも残った分は、翌朝に回します。朝は放課後と違って、予定が壊れにくい時間です。突発的な連絡が入る確率が、放課後よりずっと低い。「今日中に返す」を諦めて「翌朝までに返す」に緩めたことで、かなり楽になりました。

子どもの側から見ても、翌朝返ってくるのは十分に速いです。その日のうちに返すことより、必ず返ってくることのほうが大事です。

30人分で15分。ただし「コメントだけなら」

実感としての所要時間は、30人分でおよそ15分です。1冊あたり30秒。読んで、一言書いて、次へ。

この数字を見て「思ったより短い」と感じた方が多いと思います。実際、短いです。ただしこれには条件がついていて、コメントを書くだけなら15分、という話です。

時間が伸びるのは、たいてい良いことが起きている時

正直に書くと、15分で終わらない日のほうが多かったかもしれません。ただ、伸びる理由はだいたい決まっていました。

ひとつは、読んでいて引き込まれてしまうとき。子どもが何かに気づいた瞬間の書き方は、こちらの手を止めます。そういう記述に出会うと、返事も一言では済まなくなります。

もうひとつは、学級通信に載せたいものが出てきて、その場で打ち込み始めてしまうとき。これは完全に自業自得です(笑)。でも、通信に載った子の文章が翌日また別の子の書き方を変えていくので、無駄な時間だとは思っていません。

ここは分けて考えたほうがいいと思います。「返事を書く」は15分の作業で、「面白くて読み込む」「通信に使う」は別の仕事です。この2つを混ぜたまま「ジャーナルは時間がかかる」と結論を出すと、実際より重い取り組みに見えてしまいます。時間がないときは、前者だけやればいい。それで成立します。

一言には、一言でいい

15分で回せる理由は、コメントを短くしているからです。

私が続けていたのは、ひとつだけです。一言しか書いていない日でも、否定せずにコメントを返す。そしてこちらも一言でいい。「そうだったんだね」「それは悔しいね」「先生も同じこと思ってた」——この程度で十分です。

長く書こうとすると、書けない日が出ます。書けない日が出ると、返らない子が出ます。返らない子が出ると、その子は書かなくなります。コメントの質より、途切れないことのほうが効きます。

そして、その往復を続けていると、ふだん1行の子が、ある日急にびっしり書いてくることがあります。書きたいことができた日に、書ける場所と読んでくれる相手が用意されている。ジャーナルが「続いている」とは、そういう状態のことだと思っています。

具体的にどう返すかは、振り返りジャーナルのコメント文例集のほうにまとめてあります。

ただし、一人で判断しない記述もある

時間術の話をしてきましたが、最後にひとつだけ、速さを優先してはいけない場面を書いておきます。

家庭のことや、友達とのトラブルなど、返事の内容そのものに判断が要る記述が出てくることがあります。この時は、その場で返しません。学年主任や管理職に相談してから返事を書く、あるいは内容によっては保護者へ連絡する。ここだけは、15分の流れ作業から外します。

担任が一人で抱えて、一人で返事を書いて完結させてしまうのが、いちばん危ない形です。ジャーナルは、子どもが担任にしか見せない場所になりやすい。だからこそ、担任が一人で持ち続けない仕組みを、自分の中に用意しておく必要があります。

この判断の線引きについては、ジャーナルにネガティブなことばかり書く子のほうで詳しく書いています。

おわりに

振り返りジャーナルが続かない理由の多くは、教師の熱意でも、子どものやる気でもなく、返事を書く時間をどこに置くかを決めていないことだと思っています。

放課後にまとめて、は続きません。提出時・掃除中・作業の監督中・翌朝。すでにある時間の隙間に散らせば、30人分は15分で回ります。

あなたの1日の中で、すでに「見ているだけ」になっている時間はどこでしょうか。そこが、明日からジャーナルを返せる場所です。

けーわい先生
小学校教員
1987年生(メッシ世代)
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