振り返りジャーナル、始めてはみたものの——テーマが思いつかない。そして、集まったノートへのコメントが、思った以上に大変。この2つでつまずいていませんか。
そうそう、かくいう私もそうでした。毎日ひねり出そうとしては力尽きて、結局「今日一日を振り返ろう」。そればかりの日々です。子どもたちの記述も、だんだん同じような文章になっていきました。
変わったきっかけは、一冊の本との出会いでした。テーマの立て方にも、コメントの返し方にも、ちゃんと型がある。そこから、ようやく手応えが出てきました。
それから8年以上。振り返りジャーナルは、私の学級経営の根幹になっています。うまくいかない日でも、ノートを開けば子どもたちの言葉に救われる。毎年そうでした。だからこそ、今つまずいている先生にこそ、続けてほしいと思っています。
この記事では、実際に使っているテーマの実例を公開します。そのまま明日使えるものばかりです。まずは、テーマ集から見てみてください。
この記事で手に入るのは3つです。そのまま使えるテーマ実例19個、書く量が変わるテーマ設定の型、「何を・いつ・どれくらい」のつまずき解消Q&A。テーマ集だけ見て帰ってもらっても大丈夫です。
なお、私のテーマづくりの土台は次の一冊です。テーマの立て方もコメントの返し方も、型はこの本から学びました。本格的に続けるなら、手元に置いて損はありません。
振り返りジャーナルのテーマ実例19選【明日そのまま使える】
結論からいきます。私が教室で実際に使ってきたテーマを、3つの系統・19個に分けてそのまま公開します。迷ったら上から順に使ってください。それだけで約4週間は回ります。

テーマ設定
テーマ設定で頭を抱える人も少なくないと思います。
「今日一日を振り返ろう」の一言だけでは、子どもたちが何を書いていいのか分からず、手が止まってしまう子も少なくありません。
新卒先生Aそうなんですよね。
こっちも何を書いてもらえばいいか分からず放任しがちなんです。
けーわいだから、最初はテーマのテンプレートを活用すると、子どもたちも書きやすいと思います。
学校生活に関するテーマ
- 今日の委員会活動について。
- クラスの良いところは?
- クラスでしたいことは何?
- 今日のMVPはだれ?
- 学校が終わったら何をしたい?
- 今週の目標
- 先生に叱られて感じたことは?
けーわいテーマを書くときに、「〇〇を3つ書きましょう」や「ベスト3を書きましょう」のような書き方をすると、子どもたちの文量が増えることがあります。文量が主目的ではありませんが…。
自分に関するテーマ
- 今、感謝を伝えたい人とその理由は?
- 最近涙を流したことは何?
- 今ハマっていることは何?
- あなたの理想の未来
- 最近気になっていること
- 振り返りジャーナルを読み返して、感じたことを書きましょう。
けーわい「最近、気になっていること」は、子どもの困りごとや変化にいち早く気づくきっかけになることがあるので、定期的にやってます。
おもしろいテーマ
- ドラえもんの道具でほしいものは?
- 理想の給食メニューは?
- 理想的な時間割は?
- もし雪国に住んでいたら何がしたい?
- もし鳥になったら何がしたい?
- 100万あったら何につかう?
けーわい振り返りジャーナルで書く楽しみを刺激するのに役立つテーマです。
最初は、見様見真似で上記のようなテンプレートを活用してみると、だんだんと教師側が「こんなことを振り返ってほしい」という想いが込み上げてくることでしょう。
けーわい真似るはまねぶ(学ぶ)です。
迷ったらこれ——けーわいのイチオシ3つ
19個の中でも、まず試してほしいのはこの3つです。
①「最近、気になっていること」——子どもの心配ごとが文面に出てくることがあり、いじめの早期発見につながることがあります。私は間隔を決めて定期的に出しています。
②「今日のMVPはだれ?」——友達の良い行動に目を向ける練習になります。教室の空気が少し温かくなるテーマです。
③「ドラえもんの道具でほしいものは?」——書く楽しみに火をつけるテーマです。書くのが苦手な子の息抜きにもなります。
ここに載せた19個で足りなくなったら、続きがあります。2年間・のべ188回の実践から、実際に使ったテーマ112個を型別にまとめた教材をnoteで公開しています。まずは無料の30選からどうぞ。
振り返りジャーナルのテーマ設定——書く量が変わる3つの工夫
テーマは思いつきで出すより、工夫して出す方が続きます。私が使っている3つの工夫を紹介します。

①「3つ書きましょう」型——書く量が増える
出し方をひと工夫するだけで、書く量は変わります。「うれしかったことを3つ書きましょう」「今週のベスト3は?」のように数を指定する型です。書き出しやすくなり、文量が増えることがあります。文量が主目的ではありませんが、後で読み返すときの手がかりは増えます。
② 3つの系統をローテーションする
同じ系統が続くと、書く内容がマンネリ化してきます。「学校生活」「自分」「おもしろ」の3系統を意識して回すと、飽きずに続きます。行事のあとは学校生活系、書き疲れが見える週はおもしろ系、という使い分けです。
③「最近、気になっていること」は定点観測にする
このテーマだけは型というより定点観測です。子どもの心配ごとや変化が文面に出ることがあります。間隔を決めて、定期的に出すのがおすすめです。なお、深刻な記述を見つけたときは、ジャーナルの記述だけで判断せず、本人への個別の声かけや学年・管理職との共有など、学校の手順につなげてください。
振り返りジャーナルのつまずきQ&A——何を・いつ・どれくらい・コメント
テーマが決まっても、運用で手が止まることがあります。よくある4つのつまずきに、私の答えをまとめました。まずは基本の4ポイントから。

振り返りジャーナルを実践していく上でポイントは以下のとおりです。
①5〜10分くらいで書けるテーマを選びましょう。
②静かな雰囲気で書けるようにしましょう。
③コメントは短くポジティブなものを書きましょう。
④無理のないペースで続けていきましょう。
けーわいまずはポイントをおさえて習慣づくりをしていくことが大切です。

① 何を振り返ってもらえばいい?
新卒先生A何を書いてもらうといいんですか?
子どもたちの日々感じたことや気がついたことを書いてもらいます。
ただ、感じたことや気がついたことは一人一人異なります。
そして、それらが目に見えることは少なく、子どもたちも翌日には忘れてしまうことも少なくありません。
振り返りジャーナルは、そんな忘れ去られてしまう日々の思いや気づきを記録するためのツールです。
けーわい自分と対話するためのツールでもあります。
ですので、振り返りジャーナルには、授業で学んだことや行事の達成感だけでなく、友達とのトラブルのことや先生に叱られて感じたことも、いっしょに書いてもらいたいところです。
振り返りの記録があると、後で読み返したときに、自分や学級の成長したことや忘れかけていた課題を思い出すことができます。
けーわい「言語化」がその子の学びの財産となります。
② いつ書いてもらう?——おすすめは給食後
私の周りの先生で多いのは、帰りの会のときに書いてもらう人が多いです。
帰りの用意をした人から順次書いていきます。
ただ、この時間帯だと、低学年を担任していたときは、帰りの会では書いてもらえないということがしばしばありました。
最も重要なことは、習慣化することです。
書ける時間帯をつくって、各々がやりやすい時間帯に書いてもらって良いと思います。
けーわいちなみに、私は給食後に書いてもらっています。
帰りの会に書いてもらうと下校時刻に遅れることがあるからです。
③ どれくらい書けばいい?——量より毎日
文量については、意見が分かれるところですが、
本家「『振り返りジャーナル』で子どもとつながるクラス運営(増補改訂版・学事出版)」によると、たくさん書いてもらう必要はないとのこと。
子どもたちが5分から10分くらいで書けるテーマで取り組んでもらうと良いと思います。
けーわい先生によっては「◯行までは書きなさい」と指示しています。
本書によると、子どもたちがたくさん書きたくなるまで「待つ」ことが大事だそうです。
文量よりも、毎日書いてもらう方が大事であり、毎日書いていくことで、書く力が高まっていきます。
私自身、「楽しかった」だけしか書かない子には、「何が楽しかったの?」と問い具体的に書けるように促すことはしています。
なるべく、たくさん書いてあったほうが、後に読み返したときに、より具体的に思い出せると思うからです。
あとは、その時、子どもたちが書きたくなるテーマを出すことが重要かもしれません。
けーわい運動会後など、大きな行事後は「書きたくなるタイミング」です!
先生の関わり方は?(コメント例あり)
子どもたちの振り返りジャーナルを毎日チェックすることが大事です。
特に、教師によるコメントのフィードバックが大切です。
新卒先生B正直、それが面倒くさいです。
コメントを返す上で最も重要なことは、制限時間を設定することです。
子どもたちの振り返りを読むと、ノートの余白にびっちりとコメントをつい埋めがちです。
教師として、とてもいいことなんですが…
もし30人学級で1人に5分かけると、5分×30人=150分。すべてのノートをチェックするのに、150分かかる計算になります。
さすがに1日の激務の中でそんな時間を捻出することは不可能だと思います。
新卒先生Aそれは私も嫌だな…。
30人30冊を20分で見ると決めて取り組むだけでも、だいぶ変わります。
20分=1200秒
1200秒÷30冊=40秒/冊なので、
1冊40秒でチェックする計算になります。
1冊を40秒でチェックするためには、コメントの量にこだわらないことです。
わたしは一言コメントを毎日意識してやっています。
けーわい私は給食後に書いてもらっていたので、子どもたちが帰る前に全て目を通すことが多かったです。
コメント例
- うんうん
- いいね
- ナイス
- すごい
- すばらしい
- たのしそう
- おうえんしています
- たのしみにしています
- 先生もそう思う!
- へぇ〜!
- なるほど
- ざんねん
- あらま〜
- それなー(若者言葉をつかうこともします)
- ぴえんぱおん(そのときの流行語)
けーわいあとは、良い文や気になった文に赤でアンダーラインを引いています。
保護者へのフィードバック
それと、絶対ではないですが、保護者へのフィードバックも重要な要素です。
私は「学級通信」をつかって、定期的に保護者へフィードバックをしています。
そうすることで、保護者の方もクラスの様子を知ることもできます。
下の表は、ある年の2年生クラスの学級通信に記載したものです。
・みんながえがおでしゅう中してとり組むこと!
・まちがえても、元気にやること!
・ときょう走で1いになることです。
・元気におどることです。
・みんなで元気に楽しくおどることです。
・一年生にじょうずに教えることです。
新卒先生A保護者の反応はどうなんですか??
けーわい学校の様子が分かると、保護者から軒並み好評をいただいております。
学級通信は子どもも読めるものなので、同じクラスの子が何を書いたかを知る機会にもなり、結果子どもたちへのフィードバックにもなっています。
振り返りジャーナルの効果——メリットとデメリット
「テーマより先に、やる価値を知りたい」という先生はここからどうぞ。効果は4つ、デメリットは1つだけ正直に書きます。

① 感情が整理できる
日常生活の中で、ストレスやモヤモヤした気持ちを抱くことは誰にでもあります。子どもも同じです。振り返りジャーナルに書くことで、これらの感情を言葉にして整理し、気持ちを落ち着かせることができます。
② 自己理解が深まり、成長につながる
振り返りジャーナルは、教師が子ども一人ひとりの物語に寄り添い、共感を持って関わるための手段です。普段は見えない子どもの姿や本来の気持ちを理解するのに役立ちます。子ども自身にとっても、書くことで「自分はこう感じていたんだ」と気づく機会になります。
③ 振り返る力とメタ認知を高める
起こった事実を確認し、そのときの感情や関係性を整理して、次の行動に活かす力を養います。自分の行動や出来事を客観的に見る力(メタ認知)が育ちます。この力は学校の中だけでなく、大人になってからも使える一生ものの力です。
④ 続ける習慣が身につく
毎日5分程度の短い時間で書く習慣的な活動です。半裁のノートに記録するのが一般的ですが、タブレットを使う場合もあります。小さな振り返りを毎日積み重ねること自体が、子どもにとって「続ける力」を育てる練習になります。
デメリットは「教師の時間」——それでも続ける工夫
正直に書くと、いちばんのデメリットは毎日読んで返す教師の時間です。何も工夫しなければ、30人学級で150分かかる計算になります。だからこそ、制限時間を決めて短いコメントで返すことが続ける条件です。私の回し方は別記事にまとめています。
▶ 振り返りジャーナル、教師はいつ読んで返すのか——30人分を15分で回した時間術
振り返りジャーナルとは?(初めての先生へ)
テーマ集を見て「そもそもの仕組みから知りたい」と思った方は、この章をどうぞ。すでに実践中の方は読み飛ばして大丈夫です。

新卒先生A振り返りジャーナルって、なんですか??
振り返りジャーナルは、名前の通り、子どもたちが振り返りを習慣化するためのノートです。
子どもたちが何気なく感じたことや日々の学びに加え、思わずガッツポーズをしたくなるような嬉しい経験や泣きたくなるようなショックな体験は、子どもたちの成長の糧となります。
そのままでは、記憶は薄れ、次第に忘れ去られてしまいますが、振り返りジャーナルに記録しておくと、後で読み返したときに、自分やクラスの成長や体験を思い出すことができます。
また、振り返りジャーナルは、子どもと教師をつなぐツールとなります。
教師自身が忙しくて、子ども一人一人と十分にかかわれなかった1日なんてよくあることです。
しかし、振り返りジャーナルに目を通せば、子どもたちの心の声を聞くことができます。
子どもたちの日常の気もちの変化を知ることに加え、時には、教師自身が気がつかなかったクラスのほっこりエピソードを知って、温かい気もちになれたこともありました。
振り返りジャーナルは、子どもと教師をつなぐ秘密基地のようなものです。
ちなみに、有名プロスポーツ選手の中にも振り返りジャーナルと同じような記録する習慣を大切にしている方がいます。
プロフィギュアスケーターの羽生結弦さんの「発明ノート」や卓球2020年東京オリンピックで混合ダブルス金メダリストの伊藤美誠さんの「試合ノート」、そして、元サッカー日本代表の本田圭佑さんの「夢ノート」が有名です。
このことからも振り返りの習慣は、学校の範囲を越えて様々なシーンで活用されていると考えられます。
振り返りジャーナルで振り返る習慣を身につけることができたら、生涯にわたって子どもを助けてくれることでしょう。
けーわい私自身、8年以上実施してきて、今では欠かせないものとなっています。
用意するもの——B5ハーフサイズのノート

B5のハーフサイズのノート
または、
B5ノートを半分に切ったものを用意してください。
私は、B5ノートを100円ショップで購入したあと、裁断機で半分に切って配布しています。
半分サイズにする理由は、書くハードルを下げるためです。たくさん書く必要はない、というのが本家の方針。小さいページなら数行で埋まり、「今日も書けた」が毎日積み重なります。毎日5分の習慣には、ノートも小さい方が合っています。
けーわい裁断機がない場合はこちらを購入するほうが便利です。
おまけ:保護者と共有するときの配慮
振り返りジャーナルは基本的に、子どもと教師の1対1のやり取りです。だからこそ、外に出すときはひと手間かけます。
学級通信などで内容を紹介したくなったら、書いた本人に確認してからにしています。名前を伏せても、本人が「自分のことだ」と分かって嫌な思いをしないための配慮です。ジャーナルが「安心して本音を書ける場所」であることが、何より優先です。
そのうえで共有できたときの効果は大きく、学級通信でのフィードバックは保護者との関係にも良い影響をもたらしてくれます。
振り返りジャーナルのよくある質問
Q. テーマが尽きてしまいました
A. まずこの記事の19個をローテーションしてください。それでも足りなければ、実際に使った112個を型別にまとめたnote教材があります(無料の30選から読めます)。
Q. 低学年でもできますか?
A. できます。ひらがなだけでも、絵と一言でも成立します。小2担任として1年間回した実例を別記事にまとめています。
Q. 書けない子がいます
A. 書く量を求めないことが出発点です。「楽しかった」しか書かない子には「何が楽しかったの?」と一言だけ問い返します。字を書くこと自体が難しい子への工夫は、特別支援学級での実践記事が参考になります。
Q. 毎日読むのが大変です
A. 制限時間を決めてください。私は1冊40秒・全体で制限時間を決めて回しています。時間術の記事とコメント文例集をどうぞ。
振り返りジャーナルは子どもにも保護者にも先生にも三方よしの万能ツール!
振り返りジャーナルは子どもたちだけでなく、大人も成長させてくれます。
子どもたちがいつどこで何を感じていたかを知ることで、自分自身の実践を振り返るきっかけになるからです。
この実践を振り返る機会が自分自身を成長させてくれます。
「振り返りジャーナル」は、今では私の欠かせないツールとなっています。
さらには、効率よくコメントを返す過程で、仕事の生産性が向上したり、テーマ設定を考える習慣が「今日学ばせたいこと」を見通す力につながったりします。
学級通信で保護者へのフィードバックをすれば、保護者へも好影響を与える可能性が高いですし、振り返りジャーナルは、子どもにも保護者にも先生にも三方よしの超万能ツールです!
ぜひ、読者のみなさんも「振り返りジャーナル」にチャレンジしてみてください。
最後にもう一度。テーマとコメントの「型」を最初に教えてくれたのはこの本でした。理論から学びたい方はこちらからどうぞ。
「型より、今すぐ使えるテーマがほしい」という方には、2年分の実践記録からまとめたnote教材を用意しています。
あわせて読みたい
▶ 振り返りジャーナル完全ガイド──はじめ方から悩み解決まで
テーマ以外の悩み(いつ書く・どう返す・続かない)は、この1ページから探せます。
▶ 振り返りジャーナル入門──ゼロから始めるガイド
これから始める人は、こちらから読むと迷いません。
▶ 振り返りジャーナルはいつ書く?──「給食後」に行き着いた話
「いつ書くか」は、続くかどうかを左右します。
▶ 振り返りジャーナルのコメント文例集
返す言葉に迷ったときの文例集です。
▶ 低学年の振り返りジャーナル──ひらがなしか書けなくても、できる
低学年でも書けるようにするための工夫です。
